首相が持論として唱えてきたアジア版NATO構想は、政権発足当初から多方面で波紋を呼んだ。多国間の集団安全保障体制をアジア太平洋地域に構築するというアイデアは、中国の台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発に対する強力な抑止力になり得るという主張が存在する。しかし、現実の国際政治においては、歴史的経緯や利害関係の異なるアジア諸国を一本化することの難しさが浮き彫りとなっている。
同盟国である米国側からも、既存の日米安保条約を基軸とした二国間同盟の網の目を優先すべきだという慎重論が根強い。多国間枠組みの構築を目指しつつも、現実的な外交防衛の着地点をどこに置くのか。国家安全保障会議における戦略の練り直しが続けられており、理想と現実の狭間で模索する姿が浮き彫りになっている。