一時は商業施設で行列を作るほどの人気を誇りながら、なぜ神戸レタスはすべての実店舗を閉める道を選んだのでしょうか。ファッション流通業界の構造改革と、同ブランドを運営するマキシムの事業戦略を分析すると、極めて合理的かつ前向きな3つの店舗閉店理由が浮かび上がってきます。
第1の理由は、「圧倒的なコストパフォーマンス(商品原価率)の維持」です。一等地にある商業施設へのテナント出店には、高額な家賃や共益費、日々の光熱費、そして専任販売スタッフの人件費といった莫大な固定費が重くのしかかります。これらのコストを商品価格へ転嫁せず、消費者が驚くような「プチプラ価格」を守り抜くため、無駄なリアルコストを徹底的に削ぎ落とす決断を下しました。
第2の理由は、「生活様式の変化に伴うD2C(オンライン直販)への完全シフト」です。コロナ禍を契機に、スマートフォンを用いたアパレル通販が全世代へ浸透しました。店舗に在庫を分散配備するよりも、中央の巨大物流拠点から直接全国の顧客へ最短で届けるサプライチェーンを構築した方が、在庫ロスを極小化でき、品切れを防ぎやすいという物流上の強みが確立された点も見逃せません。
第3の理由は、「デジタル接客の急激な技術革新」です。店舗スタッフが対面で服を勧める時代から、SNSを活用したライブ配信や、身長別・骨格別のスタイリング動画によるオンライン接客へと主戦場が移りました。リアル店舗の制約を取り払ったことで、全国どこに住むユーザーにも均一で濃密な購買体験を届ける体制が整ったのです。