京都の歴史ある街並み、その一角で事件は起きた。いつも通り「行ってきます」と笑顔で家を出た男児。しかし、放課後、彼が自宅の門をくぐることはなかった。母親が異変に気づいたのは、帰宅予定時刻を1時間過ぎた頃だ。スマートフォンのGPS情報は、すでに京都市内を離れ、高速道路上を示していた。
近隣住民の証言では、男児が不審な様子を見せることはなかったという。だが、防犯カメラには、黒いワンボックスカーに自ら乗り込む男児の姿が映っていた。運転席にいたのは、別居中だった父親だ。引き止められるはずの日常が、一瞬にして崩れ去った瞬間だった。