インターネット上の自己啓発コンテンツやビジネス言説では、「躊躇=絶対悪」「躊躇する人は能力が低い」といった極端な言説が散見されます。しかし、これは意思決定論の観点から見れば危険な誤解です。
行動経済学やリスクマネジメントの観点では、適度な躊躇は「直感的な暴走(システム1の衝動買いや無謀な投資)にブレーキをかけ、論理的思考(システム2)を起動させるための健全な防衛機制」として機能します。問題なのは「躊躇すること自体」ではなく、「なぜ躊躇しているのかという理由を言語化できず、漫然と判断を先送りにすること」にあります。
明確なリスク要因があって立ち止まるのは「慎重なリスク評価」であり、根拠なき不安から行動を止めるのが「非合理な躊躇」です。この境界線を混同してしまうと、無謀な蛮勇を「決断力がある」と誤認し、重大な事故を引き起こす原因となります。