言葉のもつれを自覚したとき、あるいは周囲の人が異変に気づいたとき、どの診療科を選択し、どのような手段で受診すべきかは明確な医学的ルールが存在します。
症状が現在進行形で起きている場合、あるいはFASTチェックの項目に1つでも当てはまる場合は、自家用車の運転や公共交通機関の利用を避け、迷わず119番(救急車)を要請してください。救急車を利用することで、搬送中に救急隊員によるバイタル管理や脳卒中受入可能病院へのホットライン連絡が行われ、病院到着後の画像検査や超急性期血栓溶解療法(t-PA静注療法:発症から4.5時間以内が適応基準)やカテーテルによる血栓回収療法へ最短時間でアクセスできます。
もし症状がすでに完全に消失しており、緊急搬送を迷う状況であっても、救急安心センター事業(#7119)などを活用して指示を仰ぎつつ、その日のうちに「脳神経外科」または「脳神経内科」を標榜する救急指定病院を受診してください。夜間や休日の場合でも、翌朝まで待つことなく当直の専門医がいる総合病院へ連絡を入れることが推奨されます。
【プロの結論】救急要請を躊躇してはならない理由と医療現場の教訓
医療現場において最も悔やまれるのは、「救急車を呼ぶのは大げさではないか」「近所の目が気になる」という世間体や遠慮によって、治療のゴールデンタイムを逃してしまうケースです。脳の神経細胞は血流が途絶えると1分間に約190万個が死滅すると言われています。たとえ病院に到着して検査した結果が「異常なし」や「一時的な過労」であったとしても、専門医から救急要請を責められることは決してありません。「空振りに終わっても良いから、見逃しによる重度障害を絶対に防ぐ」という強い危機意識こそが、自分自身と家族の人生を守る唯一の防壁です。