大型車の命綱リターダーとは?排気ブレーキとの違いや仕組みを徹底解説

大型車の命綱リターダーとは?排気ブレーキとの違いや仕組みを徹底解説

大型車の命綱リターダーとは?排気ブレーキとの違いや仕組みを徹底解説について徹底解説いたします。詳細な分析をお届けします。

リターダー(Retarder)とは、自動車の推進軸(プロペラシャフト)やトランスミッション、クランクシャフトなどの回転運動に対して、摩擦以外の物理的抵抗を加えて回転を減速させる非摩擦式の補助ブレーキ装置です。

乗用車の場合、減速時はフットブレーキ(ディスクブレーキやドラムブレーキ)を踏むことで車輪と一緒に回転するローターやドラムを摩擦材で挟み込みます。しかし、総重量が20トン〜25トンにも達する大型トラックや大型トレーラーが長い下り坂を走行する場合、位置エネルギーによって生じる運動エネルギーは乗用車の数十倍に跳ね上がります。

この膨大なエネルギーをすべてフットブレーキの摩擦だけで熱に変換して減速しようとすると、ブレーキパッドやシューの温度が300℃〜500℃以上に急上昇します。その結果、摩擦材がガス化して摩擦力を失う「フェード現象」や、ブレーキフルード(作動油)が沸騰して気泡が生じ、油圧が伝わらなくなる「ベーパーロック現象」を引き起こし、ブレーキが完全に利かなくなる大惨事に直結します。

そこで活躍するのがリターダーです。リターダーは摩擦材を接触させずに、電磁気力や流体の粘性抵抗を利用してドライブトレインの回転速度を抑え込みます。フットブレーキを酷使することなく安定した制動力を長時間にわたって持続的に発生させられるため、重大事故の防止と運行スピードの適切なコントロールに欠かせない命綱となっています。

山崎 陸
著者

山崎 陸

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。