ジョジョリオンの東方定助が操るスタンド「ソフト&ウェット」の根幹を成すのは、指先や星型のアザなどから生み出される「シャボン玉」です。しかし、このシャボン玉は単なる洗剤の泡のような物質ではありません。触れたものの中に溶け込み、破裂すると同時に対象から「特定の物理的性質や概念」を一時的に奪い去るという、常識外れの特性を有していました。
物語序盤において披露された描写は、まさに変幻自在でした。路面の「摩擦」を奪って追跡者を滑らせる、相手の目球から「視力」を抜き取る、人体から「水分」を急激に奪い脱水症状に陥れる、さらには壁を叩いた際の「音」そのものを奪って密室を作り出すなど、応用範囲の広さは作中屈指の万能ぶりを誇っていました。このソフト&ウェットが持つシャボン玉の仕組みは、触れた瞬間に内包して運搬・放出する「カプセル」のような働きを内包しています。
そして物語のクライマックス、杜王町を絶望に陥れた巨悪・透龍が放つ「厄災の条理」に対抗すべく到達したのが、究極の覚醒能力「ソフト&ウェット ゴービヨンド」です。広瀬康穂のペイズリー・パークの誘導を受けて放たれたそのシャボン玉は、肉眼どころかスタンド使いの視覚にすら映りません。定助の体に刻まれた星のアザから放出されるのは、実体を持たない「無限のゼロに限りなく近い細さで高速回転する超弦(ひも)」でした。「この世に存在しない回転」であるがゆえに、この世界のあらゆる物理法則や「厄災の道理」に干渉されず、すべての障壁をすり抜けて標的を直接破壊・消滅させる絶対的な一撃となります。