ここで、現場の教員やSNS上で話題をさらった選りすぐりの誤訳・珍回答をいくつか紹介しよう。どれも生徒たちが限られた知識と必死の推測を総動員した結果生まれた、至極のフレーズばかりだ。
まず代表的なのが、直訳の罠に足を取られたパターンだ。「He has a green thumb.(彼は園芸の才能がある)」という慣用句の和訳問題に対し、ある中学生は「彼は親指がカビている」と解答。未知のイディオムに直面し、文字通りの意味を恐る恐る組み立てた生徒の苦悶が目に浮かぶ。さらに、「How are you doing?」という基本挨拶の英訳に対して「あなたはどうやってやっていますか?」と哲学的すぎる問いを返してしまうケースも後を絶たない。
また、日常に溶け込んだ和製英語が引き起こす悲劇も根強い。「私の父はサラリーマンです」を「My father is a salaryman.」と堂々と書き殴る答案や、「フライドポテト」をそのまま「Fried potato」と書いて減点を食らう例は枚挙にいとまがない。母国語の感覚に頼り切った思考回路が、見事な笑いへと昇華されている。