理想の一枚に出会うための巡礼ルートは、緻密な戦略を要する。まず基点とすべきは、世界随一の集積度を誇る新宿・渋谷エリアだ。フロアごとに専門ジャンルを極限まで深掘りしたディスクユニオンの旗艦店群、そして再評価著しいヴァイナルカルチャーを牽引するタワーレコードやHMV record shopの大型専門店。これらは最新のリイシュー盤から定番のヴィンテージまでを俯瞰する上で外せない。
しかし、本当の宝探しはそこから始まる。中央線カルチャーが色濃く残る中野・高円寺・吉祥寺の雑居ビル奥深くに潜む個人経営店、あるいは下北沢の路地裏で店主独自の審美眼によってセレクトされたブティック型ショップ。そこには大手チェーンの手をすり抜けた未整理の国内盤や、知られざる自主制作アンビエントが手頃なプライスで眠っている。さらに視線を京都や福岡の旧市街へ移せば、ジャズ喫茶の系譜を引くディープな名店が点在し、旅とディグが美しく結びつく極上の体験が待っている。