物語の中盤以降、帆高たちを支え、時に厳しく現実を突きつける大人たちを演じたのが、小栗旬と本田翼です。公開当初から大きな話題を呼んだ2人のキャスティングには、明確な演出意図がありました。
怪しげなオカルト系編集プロダクションを営む須賀圭介を演じた小栗旬は、妻を亡くした喪失感と、社会のルールの中で生きる大人の葛藤を、掠れた低音ボイスで見事に表現しました。新海監督は「小栗さんの声には、人生のほろ苦さを背負った説得力がある」と語っており、業界内外から作品の屋台骨を支えた名演として極めて高い評価を獲得しています。
一方、須賀の事務所で働き、帆高の良き理解者となる女子大生・須賀夏美役の本田翼の演技は、公開直後にSNS等で賛否両論の議論が巻き起こりました。しかし、劇場で全編を通して鑑賞したファンからは「気だるげで飾らないナチュラルなトーンが、まさに夏美のキャラクターに合致している」「アニメ的な過剰さがないからこそ、現実にいそうなリアリティが出ている」と再評価の声が圧倒的多数を占めるようになりました。バイクでの逃走シーンをはじめ、感情がほとばしる後半の演技は物語の大きな推進力となっています。