ネット上の掲示板やSNSでは、男装を好む女性たちに対して根拠のない固定観念や偏見が散見されます。その代表例が「男装をする人は全員トランスジェンダー(身体の性と性自認が一致しない人)である」「恋愛対象は女性に違いない」という短絡的な誤解です。
現場への取材や当事者の声を集約すると、いわゆる男装女子の特徴は極めて多彩であることが分かります。性自認は女性のままで、単に「男性服のデザインやシルエットが好き」「趣味としての表現を楽しみたい」という層が多数派を占めています。衣服を着替えることと自身の性同一性は必ずしも直結していません。
この事実は男装女子の恋愛観にもそのまま反映されています。男性と交際・結婚している人もいれば、女性を愛する人、あるいは他者に対して恋愛感情を抱かないアロマンティック・アセクシャルの人も存在します。「普段は中性的な格好をしているが、恋人に対しては甘えたい」「自分の服装や趣味をありのまま尊重してくれるパートナーを最も重視する」といった声が多く聞かれます。外見のスタイルから内面的な指向を一方的に決めつけることは、文化の本質を見誤る原因となります。