ライダイハン問題の本質を語る上で避けて通れないのが、戦時下における性暴力と人権侵害の実態です。戦場における混乱の中、パトロール任務や掃討作戦に従事した韓国軍兵士による民間人女性への性的暴行事件が各地で発生しました。被害を受けた女性たちの多くは、名誉や報復を恐れて声を上げることができず、妊娠・出産を経てもその出自を隠蔽せざるを得ない環境に追い込まれました。
一方で、現地の米軍基地や韓国軍基地の周辺に形成されたバーや売春街で生まれた子どもたちも存在します。生活のために韓国人関係者と暮らしていた女性たちも、戦況の悪化や部隊の引き揚げに伴い、何の前触れもなく突然置き去りにされました。父親の顔も正確な名前も分からないまま残された子どもたちは、外見的な特徴から周囲に差別され、激しいいじめに晒されたと当事者たちは証言しています。
父親を探そうにも、当時の韓国軍の個人記録へのアクセスは極めて困難であり、母子家庭となった彼らには支援の手段もありませんでした。医療や公教育へのアクセスを制限され、社会の最下層へ追いやられた母子のトラウマは、半世紀を経た今も消えることはありません。