ドラえもん映画にあの栗まんじゅうが登場したという噂は、決してファンの妄想や捏造ではありません。決定的な証拠として記録されているのが、2009年公開の映画『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』です。
問題のシーンは、のび太とドラえもん、そしてロップルやチャミーたちが宇宙船で「超空間(ワープ航路)」を飛行・移動しているシーケンスで訪れます。目まぐるしく変化するサイケデリックな亜空間の背景描写のなか、画面の片隅をよく凝視すると、「湯呑みと小皿に乗った1個の栗まんじゅう」が、天体や宇宙ゴミに混ざって悠然と漂い、画面外へと流れていく瞬間がはっきりと確認できます。
作画監督や演出陣による極めて精緻なイースターエッグ(隠し要素)であり、劇場公開当時のスクリーンでは一瞬の出来事で見落とした観客が続出しました。しかし、DVDやBlu-rayの高画質化、さらに近年の4Kリマスター配信によってコマ送り確認が容易になった結果、SNS上で「本当に浮いていた」「スタッフの狂気を感じる」と確証付きのポストが相次ぎ、定期的にトレンド入りを果たす定番の小ネタとなっています。
さらに、2011年公開の『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』においても、鏡面世界の演出や背景美術の随所に、藤子・F・不二雄作品のアイコニックなモチーフとして栗まんじゅうを想起させる隠しカットが仕込まれていると指摘されています。制作現場のアニメーターたちにとって、「宇宙を漂流し続ける栗まんじゅう」は、藤子SFの真骨頂であるブラックユーモアを映画内に忍ばせる最高峰の暗号として受け継がれているのです。