鬼滅の刃・産屋敷耀哉を極めた森川智之の凄み!無限城へ繋ぐ魂の声

鬼滅の刃・産屋敷耀哉を極めた森川智之の凄み!無限城へ繋ぐ魂の声

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産屋敷耀哉という人物を成立させている最大の要素は、聴く者の心を強制的に落ち着かせる「1/fゆらぎ」を帯びた声の響きにある。原作で語られた「人を心地よくさせる特殊な声質」を三次元の音響として具現化するという難題に対し、森川智之が下したアプローチは極めて繊細かつ大胆なものだった。

声を張り上げるのではない。むしろ極限まで吐息を混ぜ、母音の余韻を空間に溶け込ませるような発声。病魔に侵され衰弱していく身体の脆さと、鬼舞辻無惨すら圧倒する精神の強靭さ。この相反する二面性を、森川はミリ単位のブレスコントロールと声帯の摩擦音だけで表現してみせた。鬼殺隊の柱たちが一瞬で平伏し、命を投げ出す覚悟を決めるのも納得の説得力だ。

関係者の証言によれば、収録現場での森川は一切の力みを排除し、ただ静かにマイクの前に立っていたという。激情を爆発させる鬼殺隊士たちを包み込むような包容力。その裏には、数十年にわたり第一線を走り続けてきたトップランナーならではの、引き算の美学と役への深い憑依があった。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。