ネット検索を行うと「たつみビル 噂」「たつみビル 事件」「たつみビル 心霊」といった物騒なサジェストワードが表示されることがあります。知恵袋や5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの書き込みを調査したところ、「夜間に異音がする」「かつて不穏な事件があったのではないか」という都市伝説じみた書き込みが散見されました。
しかし、地元自治体の広報資料、警視庁・地元警察署の防犯統計、過去数十年の新聞縮刷版を綿密に照合した結果、たつみビルにおいて重大事件や猟奇的な事案が発生した公式な記録は一切存在しませんでした。では、なぜこのような噂が一人歩きしてしまったのでしょうか。取材を進めるなかで、3つの決定的な背景が浮き彫りになりました。
第1に、「たつみ」という名称は全国の商業ビルや雑居ビルに非常に多く使われており、他地域で発生した過去の火災や事件の記憶がネット上で混同され、特定のたつみビルに結びつけられた点です。第2に、地下階段や夜間の共用照明が薄暗い暖色系であるため、SNSの写真投稿などで「不気味な雰囲気」として面白おかしく脚色されたこと。そして第3に、後述する再開発や立ち退きをめぐる水面下の交渉が、尾ひれをつけて「トラブルが多発している」と噂された経緯があります。
実際の現場では、防犯カメラの設置やオートロック設備の更新などセキュリティ対策が段階的に強化されており、治安上の懸念材料は見当たりません。ネット上のネガティブな噂の大半は、事実無根の憶測やイメージ先行の創作であると断定できます。