本作の最大の魅力は、桑野信介を取り巻く人間関係の絶妙な距離感にあります。主人公である桑野信介(阿部寛)は、腕利きの建築デザイナーでありながら「結婚なんて百害あって一利なし」と言い切る40歳独身。そんな彼の頑ななテリトリーに、期せずして踏み込んでくる女性たちと仕事仲間との相関関係は以下の通りです。
桑野が激しい腹痛で搬送された病院の女医・早坂夏美(夏川結衣)は、桑野と互角に丁々発止の議論を交わせる唯一無二の理解者。隣の部屋に住むOL・田村みちる(国仲涼子)は、夜な夜な大音量でクラシックを聴く桑野にクレームを入れつつも、次第に放っておけない存在として距離を縮めていきます。さらに、桑野の設計事務所で働くアシスタント・村上英治(塚本高史)や、仕事仲間である沢崎摩耶(高島礼子)が桑野の奇行をフォローしながらストーリーが展開しました。
また、桑野の母・桑野育代(草笛光子)や妹の中川圭子(三浦理恵子)、義弟の中川良雄(尾美としのり)といった家族、レストランのウェイトレス役のSHEILAやパチンコ屋の店員など、多彩なゲスト出演者一覧の隅々に至るまで計算されたキャスティングが、作品のリアリティとコミカルさを生み出していました。