顎や口の周りは、顔の中でも皮膚が比較的薄く、乾燥しやすい一方で、男性ホルモンの受容体が多く分布している特異な部位です。日本皮膚科学会の臨床報告でも指摘されている通り、成人以降の大人ニキビ原因の根幹には、性別を問わず体内に存在するアンドロゲン(男性ホルモン)の作用が深く関わっています。
疲労や精神的負荷が引き金となって自律神経が乱れると、副腎皮質から過剰なホルモンが分泌されます。この刺激によってターンオーバー乱れ皮脂分泌の亢進が毛穴の深部で同時に引き起こされます。角質細胞が剥がれ落ちずに毛穴の出口を塞ぎ、内部に閉じ込められた皮脂を栄養源としてアクネ菌が爆発的に増殖する――これが顎ニキビの物理的な正体です。
さらに厄介なのは、一度強い炎症を起こした毛穴の周囲組織です。炎症によって毛穴の出口付近の構造が微小な瘢痕(はんこん)化を起こし、排出口が狭窄した状態が残存します。その結果、目視では治ったように見えても、微細な顎ニキビホルモンバランスの変動によって、全く同じ毛穴に皮脂が再び滞留し、再発を繰り返す悪循環に陥るのです。