飯島直子の名を国民的スターへと押し上げた最大の要因は、1994年から放映された日本コカ・コーラ「ジョージア CM」シリーズです。作業着姿やスーツ姿で働く男性たちに向け、カメラ目線で優しく微笑みかけながら放たれた「がんばって、男のひと!」というフレーズは、流行語大賞の候補にも挙がるほどの社会的インパクトを残しました。
このプロモーションによって、日本メディアには「元祖癒し系タレント」という新たなカテゴリーが誕生。バブル崩壊後の先行きの見えない不況下で疲弊していた労働者層にとって、彼女の温かみのある笑顔はまさに精神的なオアシスとして機能しました。広告業界関係者の間でも「単一のタレントが商品のブランドイメージをここまで劇的に引き上げた例は稀」と高く評価されています。
CMの成功を足がかりに、彼女は本格的にドラマ出演作を重ねていきます。1997年のドラマ『智子と知子』(TBS系)では田中美佐子とダブル主演を務め、コミカルかつ繊細な演技を披露。さらに1999年のサスペンスドラマ『OUT〜妻たちの犯罪〜』(フジテレビ系)や、2000年の月9ドラマ『バスストップ』(フジテレビ系)では主演を務めるなど、女優としての確固たる実力を証明しました。映画『メッセンジャー』(1999年)では第24回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞し、タレントの枠組みを完全に脱却したのです。