なぜキャンメイクは、ドラッグストアの値引き合戦に巻き込まれず、定価販売を貫きながら驚異的な売上を維持できるのでしょうか。ここには現代の消費行動心理と、流通における強固なバウンダリー(境界線)戦略が働いています。
社会心理学や行動経済学において、消費者が購買の意思決定を行う際、価格の絶対値だけでなく「価格に対する納得感と心理的安全性」が極めて重視されます。多くのプチプラコスメがオープンプライス化や過剰なクーポン乱発によって「定価がいくらなのか分からない」「安売り店で買わないと損をする」という不信感を生みがちな中、キャンメイクは最初から限界まで抑えた明朗な低価格(ワンコイン前後)を設定し、全国どの店舗でも同一価格で提供し続けています。
この戦略により、生活者は「いつどこで買っても絶対に損をしない」という絶対的な信頼感を抱きます。ドラッグストア側としても、安売りによる利益率の低下を防ぎつつ、確実な来店動機(ついで買いの呼び水)を生み出すキラーコンテンツとしてキャンメイクを重宝する構造が出来上がっています。
安易な割引キャンペーンに頼らず、徹底した品質保持と専用什器によるブランドアイデンティティを守り抜く姿勢こそが、ドラッグストアの熾烈な棚取り合戦を勝ち抜き続ける本質的な強さといえます。