日本料理界の最高峰として君臨していた吉兆グループ。その分社化によって誕生した船場吉兆は、大阪の政財界や文人墨客に愛される格式高い料亭であった。しかし、その輝かしい看板の裏で進行していたのは、あまりにも悪質な不正行為だった。
2007年に発覚した一連の不正は、地鶏の産地偽装に始まり、賞味期限切れ商品のラベル貼り替え、果ては客が残した料理を別の客へ再提供する「食べ残しの使い回し」にまで及んだ。かつて創業者・湯木貞一が築き上げた日本料理の美学と信頼は、利益優先の体質によって完全に泥を塗られることとなった。株式会社吉兆のグループ各社にも激震が走り、高級料亭業界全体に対する世間の目は一気に厳しいものへと変化した。この船場吉兆食品偽装問題は、日本の外食産業におけるコンプライアンスの脆弱さを白日の下に晒したのだった。