アブに刺された(噛まれた)際、最も重要なのは「刺されてから数分以内の初動」です。アブは蚊のように細い針を刺すのではなく、ノコギリのような大顎で皮膚を切り裂き、染み出た血液をすすります。その際、血を固まりにくくするための唾液成分(アレルゲン・毒素)を皮膚組織に注入するため、この異物をいかに早く体内から排出させるかが重症化を防ぐ分かれ目となります。
現場で速やかに行うべき応急処置のステップは以下の通りです。
ステップ1:患部を冷たい流水で徹底的に洗い流す
まずは綺麗な水で傷口と周辺を洗い流します。アブの唾液成分や皮膚表面の雑菌を物理的に洗い流すことで、感染症のリスクを大幅に減らせます。
ステップ2:ポイズンリムーバーで毒素を吸い出す
アウトドアでの常備品であるポイズンリムーバーを患部に当て、陰圧をかけて唾液や毒素混じりの体液を吸い出します。刺されてから2〜3分以内に使用するのが最も効果的です。口で直接吸い出す行為は、口内粘膜から毒素が吸収されたり、口内の常在菌が傷口に入り込んで化膿する危険があるため絶対に行ってはいけません。
ステップ3:患部を保冷剤や氷水で冷やす
流水洗浄と毒出しを終えたら、清潔なガーゼやタオル越しに保冷剤や氷嚢を当てて患部をしっかり冷却します。血管を収縮させることで、毒素の拡散を抑え、この後に現れる強烈な炎症と痒みを最小限に食い止めることができます。
※なお、蜂や蚊の一部では温熱療法が語られることがありますが、アブ刺されにおいて患部を温める行為は逆効果です。血流が促進されてヒスタミンが活性化し、腫れと痒みが爆発的に悪化するため、必ず「冷やす」を選択してください。