日常会話で何気なく使っている「河川敷」ですが、言葉の成り立ちや土木工学上の構造には明確な区分が存在します。
まず河川敷の正しい読み方について確認すると、本来の公用・標準的な読みは「かせんしき」です。広辞苑などの主要辞書でも見出し語は「かせんしき」として立項されています。ただし、連濁によって「かせんじき」と発音される頻度も極めて高く、放送用語や現代の日常会話では「かせんじき」も慣用読みとして広く認められています。
次に、混同されやすい堤防と河川敷の違いおよび高水敷と低水路の構造を整理します。日本の主要な河川(一級河川・二級河川)の多くは「複断面(ふくだんめん)」と呼ばれる二段構造で設計されています。
平常時に川の水が流れている水路部分を「低水路(ていすいろ)」と呼び、その一段上に位置する平坦な草地やグラウンド部分を「高水敷(こうすいしき)」と呼びます。この高水敷こそが一般に「河川敷」と呼ばれているエリアです。そして、大雨による洪水時に水が住宅街へ溢れ出ないよう川全体を外側から囲っている盛り土構造物が「堤防(本堤)」です。
つまり、堤防は「水を堰き止める壁」であり、河川敷(高水敷)は「普段は陸地だが、大増水時には水没して遊水機能を発揮するスペース」という決定的な構造上の役割の違いを持ちます。
さらに河川法による定義に照らし合わせると、河川敷の多くは国有地であり、法律上「河川区域(河川法第6条)」に指定されています。私有地が一部含まれるケースもありますが、基本的には国(国土交通省)または都道府県が河川管理者として管轄しており、私たちが勝手に土地を削ったり建物を建てたりすることは厳しく禁じられています。