傘の餅の儀礼において最も印象的な場面が、法要の終盤に行われる「人型(ひとがた)の切り分け」です。読経が一通り終わると、導師である僧侶が包丁や清潔なハサミを手に取り、一番上に乗っていた大きな笠餅を鮮やかに切り分けていきます。
切り分けるパーツは、故人の身体を模した「頭・胴体・両手・両足」の部位です。切り分けた大餅と小餅を祭壇の上で組み合わせ、まるで人が笠をかぶり杖を持って歩いているような姿(旅姿)を作り出します。これには「現世での肉体を離れ、仏の弟子として新たな旅立ちを完了した」ことを証明する深い儀礼的意味があります。
さらに、地域によっては「わらじ」の形に切る場合もあり、これらはいずれも故人が迷わず西方浄土へ歩みを進められるようにという遺族の願いが形になったものです。儀式を終えた人型のお餅は、再び解体されて参列者へと配られます。