下町情緒が色濃い船堀だが、近年の外食産業におけるエスニックブームの波はここにも確実に押し寄せている。特に注目すべきは、独自配合のスパイスでファンを増やすカレーライスの専門店や、本場仕込みの北インド・ネパール料理店だ。
注文が入ってからホールスパイスをテンパリングして作られるチキンカレーは、カルダモンやクミンの鮮烈な香りが立ち上り、一口ごとに体の内側からエネルギーが湧き上がるのを感じる。小麦粉を使わず、玉ねぎとトマトの水分だけで煮込まれたルウは胃もたれせず、午後の仕事に向けて心地よい活力を与えてくれる。
さらに、近年はアジア各地のストリートフードを取り入れた多国籍カフェも台頭してきた。多様な文化が自然に溶け込む船堀の街並みの中で、スパイスの芳香に誘われて扉を開ける瞬間は、日常の中の小さな冒険そのものだ。