器に氷が浮かぶビジュアルは涼感抜群だが、その一杯には緻密な計算が隠されている。山形の冷製スープは、単に熱いラーメンを冷水で割ったものでは決してない。冷やしても固まらない植物油やごま油を独自比率で調合し、冷たさによって鈍る味覚を補うため、醤油ダレと出汁の濃度は通常よりもやや強めに設計されている。
この門外不出とも言える技術は、山形県麺類飲食生活衛生同業組合などを通じて地域全体へ共有され、各店舗が切磋琢磨しながら独自の味を磨き上げた。氷が溶けてもスープが薄まらないよう氷自体を出汁で凍らせる店や、自家製の冷製ラードを開発する店など、山形市内で提供される一杯一杯に職人のプライドが息づいている。