インターネット上や民間療法の情報の中には、「黒い経血は体内に溜まった老廃物や毒素(デトックス)が排出されたもの」「経血が黒いと子宮が汚れている」といった根拠のない俗説が散見されますが、これは医学的に完全な誤解です。前述の通り、黒色化は単なる化学的な酸化現象に過ぎず、体内の毒素量とは一切関係がありません。
もう一つの重要な盲点が、生理と不正出血の見分け方です。「予定日より数日早く始まった生理」だと思い込んでいた出血が、実は子宮頸がん、子宮体がん、頸管ポリープ、あるいは着床時出血(妊娠初期)であったという事例は決して稀ではありません。
両者を見分ける決定的なポイントは「出血のパターン」と「周期性」です。通常の生理であれば、少量から始まり2〜3日目にピークを迎えて徐々に減少し、1週間程度で完全に止まります。これに対し、ナプキンに付着する程度の薄い鮮血や茶褐色の出血が不規則に続く、あるいは性交後に限って鮮血が出るような場合は、生理ではなく器質的疾患による不正出血の可能性を疑う必要があります。
また、過度なダイエットや極度のストレス、睡眠不足によって自律神経が乱れると、視床下部や下垂体からの指令が滞り、ホルモンバランスの乱れが生理の血色に直結します。プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が不十分になると、子宮内膜が均一に剥がれず、少量の黒ずんだ血液が長期間にわたってダラダラと排出され続ける原因になります。