プスの魅力はビジュアルの愛らしさだけにとどまらない。その声から漂う、むせ返るような大人の色気があってこそ、あのうるうる顔の破壊力は何倍にも跳ね上がる。
原語版で声を担当したのは、映画『マスク・オブ・ゾロ』で世界中を魅了したアントニオ・バンデラスだ。自らの代名詞であるラテン系ヒーローのパロディを自ら演じ切り、低く甘いハスキーボイスと、喉を鳴らすような高音の鳴き声を自在に行き来させた。自虐とプライドが交錯する熱演が、キャラクターに唯一無二の命を吹き込んだのは間違いない。
一方、日本語吹き替え版を担当した竹中直人の怪演も見逃せない。ダンディズムを極めた渋いトーンから、情けない命乞いの裏声まで、竹中直人ならではの緩急自在なアドリブ感が炸裂している。日米どちらのバージョンを聴いても、声優陣が楽しんで「かっこいいのに情けない猫」を作り上げていることが伝わってくる。