地域ごとに独自の発展を遂げてきた点も興味深い。農林水産省が推進する「うちの郷土料理」データベースにも、全国各地の多様なスタイルが登録されている。高知県ではニンニクの葉をすり潰した「葉ニンニクのぬた」がブリの刺身に合わされ、北陸では鮮魚の昆布締めと合わせる手法が長年受け継がれてきた。
四季折々の旬の食材を余すところなく活かす和え物という調理技法は、日本の豊かな風土が生んだ至高の知恵である。貝類や青魚、季節の野菜など、合わせる具材によって幾通りもの表情を見せる懐の深さこそ、郷土に息づく食文化の醍醐味にほかならない。