東京の流行の発信地であり、世界的なハイブランドのフラッグシップがひしめく南青山。その一角に佇む店舗は、決して奇をてらった主張をすることはない。しかし、ガラス越しに見える整然と並べられたジーンズ群は、明らかに周囲のラグジュアリーブランドとは異なる異彩を放っている。日本のジーンズ発祥の地として知られる岡山県倉敷市児島。そこで半世紀近く培われてきた伝統技術と魂が、そのまま東京の洗練された街並みへと移植されているのだ。
店内に足を一歩踏み入れると、静かな緊張感とともに温かみのある接客が客を迎える。カウンター越しにスタッフが語る染めや織りの工程は、まるで美術品の解説を聞いているかのような深みがある。単なるアパレルショップではなく、日本のものづくりの哲学を体感できる「文化の発信拠点」として機能している点が、多くのファッション通を唸らせる最大の理由だ。