原価高騰や人手不足が叫ばれ、合理化を迫られる現代の日本の外食産業。モバイルオーダーや配膳ロボットの導入が当たり前となった今、昔ながらの大衆食堂が次々と姿を消している。だが、そんな潮流を真っ向から拒絶するかのように、この店は活気に満ちている。
看板を掲げて半世紀近く。提供されるのは、特別な高級食材ではない。どこにでもある、けれど誰にも真似できない極上のB級グルメだ。豚肉の脂と甘辛いタレが絡み合う定食の数々は、一口食べるごとに身体の奥底からエネルギーが湧き上がるのを感じさせる。作り手の顔が見え、温度が直接伝わる料理。それこそが、情報過多に疲れた現代人が無意識に求めている「本物の食事」なのだろう。