多くの観光客は舗装された表参道を通って社殿へと向かうが、地元住民が代々密かに受け継いできた裏の参拝ルートが存在する。渓流沿いに伸びる古い石畳の径(みち)を辿るこの穴場道は、樹齢数百年の杉木立に囲まれ、表通りの喧騒から完全に隔離された特別空間だ。
朝日が木漏れ日となって滝壺に差し込む早朝6時前後、この裏ルートからアプローチするのが最も澄んだ霊気を体感できる時間帯である。苔むした木橋を渡り、小さな祠を巡りながら一歩一歩進むことで、参拝前の心を徐々に整えることができる。周囲の自然を傷つけぬよう静かに歩みを進めることが、この秘道を通る者だけに許された無言の約束事だ。