比嘉の独創性は楽曲制作にとどまらない。ギターの和音の豊かさと三線の手軽さを融合させた世界初のアコースティック楽器「一五一会」の開発プロジェクトは、当時の音楽産業に対する静かなるアンチテーゼでもあった。
「誰もが指一本でコードを押さえ、自分の歌を歌えるようにしたい」。過度に複雑化し、技術至上主義に傾倒していく音楽シーンへの違和感から生まれたこの楽器は、老若男女問わず音楽を自らの手に取り戻すための道具となった。大量生産・大量消費のサイクルから距離を置き、生活に寄り添う道具としての楽器を作る。比嘉栄昇の哲学が最も如実に表れた試みと言える。