なぜ、真面目に生きてきたもう一人の爺さんが、これほど残酷な目にあわなければならなかったのか。古典の原文や様々な翻案を紐解くほどに浮かび上がるのは、「正しさや良識が、必ずしも理不尽な世界で自分を守る盾にはならない」という冷酷な事実だ。鬼たちが求めたのは、模範的な立ち振る舞いではなく、その場を歓喜させる本性の爆発だった。
これは、現代のビジネスシーンやSNS社会における評価軸の不条理さとも恐ろしいほど合致する。どれほど誠実に準備を重ねても、時代の空気や場のグルーヴを読み違えれば、努力は裏目に出て嘲笑の対象となりかねない。昔話が長年語り継がれてきた真の理由は、単に子供を躾けるためではなく、理不尽で不条理な世界を生き抜くための「人間の業」と「処世の残酷さ」を、密かに大人へと語りかけていたからに他ならない。 (出典: こぶ じいさん(Yahoo!ニュース))
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