日本映画界の歴史を振り返る上で、映画監督・五社英雄との巡り合わせは決定的な転機だった。1980年代後半、東映が総力を挙げて製作した大作映画群において、彼女は単なる「美しい女優」という枠組みを軽々と打ち破ってみせたのだ。
『吉原炎上』(1987年)や『肉体の門』(1988年)で魅せた生々しいまでの生命力と情感は、観客だけでなく批評家をも唸らせた。泥臭くも気品ある遊女や女性たちの情念を全身全霊で体現し、日本アカデミー賞助演女優賞をはじめとする数々の栄誉に輝いたことは、彼女の実力を決定づける証となった。
五社監督の現場は一切の妥協を許さない過酷さで知られていたが、彼女はその熱量に怯むことなく、むしろ自らの肉体と感情を限界まで追い込んで応えた。極限状態で研ぎ澄まされた表現力こそが、現在の彼女の骨太な演技の土台となっている。