意外と知らない「キャミソールとは」どんな服なのか。その基本構造は、「胸元から胴体部分を覆い、両肩を細い紐(スパゲッティストラップなど)で支える袖のないトップス」と定義されます。Tシャツやブラウスのように肩布で支えるのではなく、極細のストラップで吊り下げる設計が最大の特徴です。
歴史を遡ると、キャミソールの語源と由来は中世ラテン語で「薄手の麻シャツ」を指す「カミシア(camisia)」に辿り着きます。これがスペイン語の「カミーサ(camisa=シャツ)」、さらにはプロヴァンス地方の「カミソーラ(camisola)」を経て、19世紀のフランスで「キャミソール(camisole)」として定着しました。当初はコルセットの締め付けから肌を保護し、ドレスの汚れを防ぐ短い女性用胴着、あるいは就寝時の羽織りとして用いられていたものが、時代とともに素材の軽量化と洗練を経て現代の形へと昇華したのです。
日常の会話で混同されやすいのが、キャミソールとタンクトップの違いです。両者を分かつ決定的なポイントは「肩部分の幅」と「襟ぐりのカッティング」にあります。タンクトップは1920年代の水着(タンク・スーツ)がルーツであり、肩紐部分にしっかりとした幅(通常3cm以上)があり、首回りはUネックやクルーネックの形状をとります。一方のキャミソールは、肩紐が数ミリ幅のストラップであり、胸元が直線やV字、ハートシェイプなどランジェリーライクな繊細なラインを描く点が根本的に異なります。
さらに、キャミソールとスリップの違いも理解しておく必要があります。キャミソールが基本的に腰丈までの上半身用トップスであるのに対し、スリップは胸元から太もも、あるいは膝下まで伸びる「ワンピース型インナー」を指します。スリップの主目的は、スカートやドレスの生地が足にまとわりつくのを防ぎ、下着のラインや透けを全身でカバーすることにあります。上半身のみの調整であればキャミソール、ワンピースやボトムス全体の滑りと透け対策を両立させたい場合はスリップという使い分けが基本です。
そして今日において最も議論を呼ぶのが、キャミソール下着インナーの違いです。かつては「肌着=人前で見せてはならないもの」という認識が支配的でした。しかし現在では、吸汗速乾や保温性を追求した「完全な肌着としての機能性キャミソール」と、サテン、ベロア、リブニット、レーストリムなどを施し、アウターウェアとして着用することを前提にした「見せるキャミソール」の2系統へ完全に分岐しています。