日本のクマの分布を語る上で欠かせないのが、津軽海峡に引かれた生物地理学上の境界線であるブラキストン線です。幕末から明治期に滞在した英国の動物学者トーマス・ブラキストンが提唱したこのラインにより、北海道と本州の哺乳類相は明確に分断されています。
北海道全域に生息するのは、ユーラシア大陸北部から渡ってきた大型のヒグマです。対して、本州および四国の森林地帯に生息するのはツキノワグマです。なお、九州に生息していたツキノワグマは2012年に環境省によって「地域絶滅」が宣言されており、現在野生個体は確認されていません。
「本州にヒグマはいるのか」「北海道でツキノワグマを見ることはあるのか」という疑問を抱く方もいますが、自然分布としては100%あり得ません。ただし、飼育施設からの脱走といった特殊事例を除き、本州で遭遇するクマはすべてツキノワグマ、北海道で遭遇するクマはすべてヒグマであると判断して間違いありません。