歴史の教科書に必ず登場する天下人の血を引くことは、現代を生きる末裔たちにとって名誉であると同時に、計り知れないプレッシャーや制約を伴います。
宗家19代当主の家広氏や関係者の過去のインタビューから見えてくるのは、「徳川という看板」に対する周囲の過度な期待と先入観との戦いです。学生時代やビジネスの現場において「徳川さん」として特別視されるストレスや、個人的な発言が「徳川家の公式見解」と受け取られかねない慎重さを常に求められます。
また、最大の課題は「膨大な歴史的文化遺産の維持管理」です。国宝や重要文化財に指定されている大名道具や文書は、温度・湿度の厳格な空調管理、定期的な修復、防犯対策などに毎年莫大な費用がかかります。国や自治体の補助金があるとはいえ、維持費用の捻出や専門知識を持つ学芸員の確保など、当主たちの苦心は民間の美術館・財団経営と同様にシビアな局面にあります。