母カマキリが秋に産みつける泡状の巣は卵嚢(らんのう)と呼ばれます。空気を含んだ頑丈な泡構造は、凍える冬の風や外敵の攻撃から内部の数百個の卵を完璧に防護する天然のシェルターです。
カマキリは、チョウやカブトムシのように蛹の期間を持たない不完全変態の昆虫です。卵嚢から生まれ出た直後の幼虫は「前幼虫」と呼ばれ、透明な膜に包まれた状態で糸を引くように空中に垂れ下がります。脱皮を終えるとすぐさま親そっくりのハンターの姿になり、風に吹かれて散らばっていきます。この間、わずか十数分。この一瞬の凝縮された生命力こそが、観察者を惹きつけてやまない理由です。