一家の絆を揺るがす悲劇は、その後も容赦なく襲いかかった。勝新太郎の遺伝子を継ぎ、俳優として活動していた長男の鴈龍(本名・奥村雄大)の存在である。鴈龍は映画の撮影現場での事故や芸能活動の苦悩を抱え続け、家族にとっても常に心配の種であった。中村玉緒は息子を溺愛し、物心両面で支援を続けていたが、2019年に鴈龍は55歳の若さで孤独のうちに急逝してしまう。
最愛の息子の死は、中村玉緒の心に計り知れない傷を残した。同時に、長年にわたり弟の面倒や母のサポートを巡って奔走してきた奥村真粧美との間にも、埋めがたい疲弊と感情のズレが生じる契機となった。家族の精神的支柱であった勝新太郎を亡くし、続いて弟までも失ったことで、残された母と娘の関係にはこれまで以上の緊張感が漂うようになった。