本作のストーリーテリングにおいて特筆すべきは、アニメーション監督の新海誠が魅せる美しい情景描写と、直木賞作家の辻村深月が描く人間のド迫力な心理描写が見事に結実している点だ。二人の才能が交錯することで、作品に唯一無二の奥行きが生まれた。
単なるスリラーにとどまらない濃厚なヒューマンドラマの要素が根底に流れる一方で、一筋縄ではいかない心理サスペンスの緊張感が全編にわたって張り詰めている。登場人物たちの切実な葛藤に心を寄せていると、突如として裏切りや秘密が明かされる。緻密な人間模様と息をのむ展開の連続に、心を奪われない者はいない。