街中で「全高1,550mm以下」という掲示を頻繁に見かけます。この立体駐車場車高制限・サイズ制限の理由は、昭和から平成初期にかけて主流だった5ナンバーセダン(トヨタ・クラウンやコロナなど全高1,400mm台の乗用車)の寸法を基準に、階高を抑えて収容台数を最大化するよう設計された歴史的経緯にあります。当時としては合理的な設計でしたが、現在の車両トレンドとの間に決定的な歪みを生んでいます。
自動車検査登録情報協会の統計が示す通り、新車販売におけるSUV・ハイトワゴンのシェアは過半数を占めています。例えば、トヨタの「アルファード」は全高約1,935mm〜1,945mm、「カローラクロス」でも全高1,620mmに達し、旧来のセダン基準(1,550mm)には物理的に入庫できません。
さらに深刻なのが、立体駐車場の重量制限と注意点です。近年急伸するバッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)は、大容量駆動用バッテリーを床下に積載するため、同クラスのガソリン車と比較して300kg〜500kgほど重い設計になっています。機械式駐車場のパレット制限荷重は、旧型設計では1,700kg〜1,800kg、比較的新しい施設でも2,000kg(2.0t)設定が主流です。
車検証上の車両重量が1,980kgであっても、乗員や荷物、社外オプションの重量を加味するとパレットの制限荷重を容易に突破します。定格荷重を超過した状態で作動させると、昇降ワイヤーや油圧シリンダーに過大な負荷がかかり、パレットの傾斜やモーターの焼損、最悪の場合は落下事故につながる危険性を孕んでいます。
車幅についても、車検証上の全幅(例えば1,850mm)だけを見て判断するのは早計です。タイヤの外側間寸法のほか、ホイールのリムが突出しているデザインの場合、パレット側面のガイドレールに接触して高額なアルミホイールを削ってしまうトラブルがSNSでも後を絶ちません。