原作漫画が連載中であった段階で製作された劇場版において、最大の焦点となったのが「歴史の必然である本能寺の変をどう描くのか」という結末の着地点でした。史実を変えてサブローが生き延びるのか、それとも史実通りに落命するのか。ネット上では公開前から激しい議論が巻き起こっていました。
実際の劇場版で描かれた結末は、脚本の緻密さと人間ドラマの決着において非常に高い完成度を誇りました。本能寺でサブローを討とうとした光秀(本物の信長)は、秀吉の裏切りによって命を落とします。そしてサブローは、光秀から託された思いを胸に秀吉と対峙するものの、処刑の刃が振り下ろされた瞬間に現代へとタイムスリップして生還を果たすという筋書きでした。
現代に戻ったサブローの元に届いた、帰蝶からの想いが込められたSDカード(ビデオレター)。そこには、サブローが戦国時代に残した確かな足跡と、彼を愛した人々の感謝が記録されていました。ネット上では「サブローが首を討たれたように見えた瞬間の演出が息をのむほどリアルだった」「悲劇でありながら、これ以上ない希望を残す美しい結末」と絶賛の声が溢れた一方で、「歴史改変のエンドを迎えてほしかった」という熱心なファンによる惜別の声も散見されました。
タイムスリップ物の宿命である「歴史の修正力」と「個人の願い」の衝突を、命を奪うことではなく「意志の継承」によって着地させたこのエンディングは、今振り返っても極めて誠実な脚本構成であったと評価できます。