鞆の浦のジブリの余韻を余すところなく味わうためには、無計画に歩くのではなく、港町の地形と歴史を段階的に体感できるルート設計が欠かせません。現地取材に基づき、半日(約3〜4時間)で巡る推奨散策ルートを提示します。
① 鞆港・常夜燈(スタート)
福山駅から路線バス(鞆鉄バス)で約30分、鞆港バス停から歩いてすぐの場所にそびえるのが、鞆の浦のシンボルである常夜燈(安政6年・1859年建造)です。船着き場の石段(雁木=がんぎ)に腰を下ろして港を眺めると、満潮時に海面が迫る様子が映画序盤の海辺のシーンそのものであることに気づかされます。
② 御舟宿いろは(昼食・休憩)
常夜燈から古い格子戸の町並みを北へ徒歩約5分。幕末に坂本龍馬率いる海援隊が紀州藩と談判した歴史的建造物を改修した宿・食事処が「御舟宿いろは」です。建物の老朽化による解体危機に際し、宮崎監督が町並み保存を願い、内外装の再生イメージスケッチを描き下ろしたことで知られています。店内には監督直筆のデッサン画が展示されており、瀬戸内の小魚料理を味わいながら作品誕生当時の息吹に触れられます。
③ 医王寺・太子殿への登攀(絶景展望)
町中を抜けて西側の山手へ進み、弘法大師の開基と伝わる医王寺へ向かいます。本堂からさらに急な石段を583段登った先にある「太子殿」からは、鞆港、仙酔島、そして複雑に入り組む海と山が一望できます。この高台からのパノラマビューこそ、宗介の家から見下ろしたあの壮大な海の原形です。
④ 仙酔島へ渡る市営渡船「平成いろは丸」(オプショナル)
時間に余裕があれば、鞆港からわずか5分の市営渡船で仙酔島へ渡ることをおすすめします。海側から鞆の浦の断崖絶壁を眺めることで、宮崎監督が船の上から捉えたであろう港町のダイナミックな立体感を体感できます。