一方で、日本には公共用空港が1つも存在しない都道府県が10府県ある。具体的には以下の顔ぶれである。
【空港がない10府県】
栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、山梨県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、奈良県
人口規模の大きい神奈川県や埼玉県、世界屈指の観光都市である京都府に空港が存在しないことを不思議に思う読者も少なくない。しかし、その背景を紐解くと「作れなかった」のではなく「作る合理性がなかった」という交通地理学的な必然性が浮かび上がる。
まず、神奈川県や埼玉県は、羽田空港および成田空港への鉄道・高速道路アクセスが極めて高密度に完成している。東京都心を中心に放射状に広がる通勤圏内では、巨額の用地取得費を投じて空港を建設するよりも、都内主要空港への連絡バスや成田エクスプレスなどの鉄道路線を強化したほうが投資対効果が圧倒的に高い。
さらに、京都府、滋賀県、奈良県、三重県、岐阜県といった近畿・東海エリアは、東海道新幹線による高速大量輸送の恩恵を直接享受している。東京〜京都間が2時間少々で結ばれている現在、空港アクセスの時間と手続きを考慮すれば航空機が新幹線に対抗することは極めて困難である。また、京都からは伊丹空港や関西国際空港へ直通特急「はるか」やリムジンバスが直結しており、独自の空港を建設する必要性が生じなかったのである。