「日本で一番長いトンネルはどこか」という問いに対して、交通インフラを把握する上で押さえるべき大原則があります。それは、「鉄道」と「道路」を明確に分けて評価しなければならないという点です。
現在、鉄道部門の頂点に立つのは、本州と北海道を結ぶ海底トンネルである青函トンネル(全長53.85km)です。半世紀近くにわたり日本最長の名を欲しいままにしており、その規模は他の追随を許しません。一方、道路部門で日本一に君臨しているのは、首都高速中央環状線の一部を構成する山手トンネル(全長18.2km)です。かつて道路トンネルの代名詞だった関越トンネルを大きく引き離し、大都市・東京の地下深くを縦断しています。
これら日本の主要トンネルと世界記録の現在地を整理すると、次のような客観的データが浮かび上がってきます。
表を見れば明らかなように、「鉄道」と「道路」の構造的な長さには大きな開きがあります。鉄道は重量のある列車を高速かつ安定して走らせるために勾配やカーブの制限が厳しく、山や海を直線的に貫く長大な構造になりやすいのに対し、道路トンネルは換気やドライバーの集中力維持、万が一の火災排煙といった防災上の物理的制約が極めて大きいためです。