当時の撮影スタッフの間で語り継がれる共演秘話がある。即興性が求められるシーンにおいて、渡部は天性のひらめきと鋭い感性で空間の空気を一変させた。一方の中谷は、緻密に役柄を分析しつくしたロジックで完璧な演技を構築した。一見すると正反対のアプローチを取りながらも、いざ本番となればパズルのピースが完璧に噛み合うかのような奇跡的な一体感を見せた。
さらに興味深い裏話として、過酷を極めたロケ現場での互いへの気遣いが挙げられる。妥協なき演技を追求するあまり現場のテンションが高まり切った際、二人は言葉に頼ることなく芝居の完成度のみで現場の士気を引っ張り上げた。その圧倒的なプロ意識に、周囲のスタッフも息をのんだという。