FC2事件において最大の論点となったのは、「ネバダ州に拠点を置く米国法人(FC2, Inc.)のサービスを、日本の刑法で処罰できるのか」という管轄権の壁でした。長年、FC2側は「サーバーも本社もアメリカにあり、米国の法令に準拠している」と主張し、日本の警察の介入をかわしてきました。
この防壁を打ち破ったのが、京都府警サイバー犯罪対策課を中心とする粘り強い捜査手法です。捜査本部は以下の実態を綿密に立証しました。
第一に、大阪の「ホームページシステム社」が単なる業務委託先ではなく、実質的な企画・開発・サーバー保守・決済管理の本拠地として機能していた点です。押収された大量のメールや社内チャット履歴から、高橋理洋氏が海外から直接指示を出していた指揮命令系統が完全に裏付けられました。
第二に、サービスの収益源や利用者の大半が日本人であり、サーバーが物理的に海外にあっても「結果が日本国内で発生している(結果地が日本)」ことから、刑法1条の属地主義に基づき日本の裁判管轄権が及ぶと判断されたのです。この捜査手法は、その後の海外籍オンラインカジノや海賊版サイト摘発における重要な先例となりました。