別所沼公園の景観を唯一無二のものにしているのが、沼のほとりにひっそりと佇む木造の小舎「ヒアシンスハウス(風信子ハウス)」です。昭和初期の抒情詩人であり将来を嘱望された建築家でもあった立原道造が、24歳で結核のため早逝する直前に遺したスケッチをもとに、没後65年を経た2004年に市民と行政の情熱によって忠実に再現されました。
わずか約5坪のミニマムな空間には、大きな開口部と機能的な造り付け家具、そして沼の水面を借景とする窓が配置されています。「自分一人が本を読み、思索にふけるための週末住宅」を構想した青年の瑞々しい感性が息づいており、水・土・日・祝日の10:00〜15:00には内部が一般無料公開されています。ボランティアスタッフによる丁寧な解説に耳を傾けると、この土地が持つ文学的な奥行きがより鮮明に感じられます。
そして、この建築を包み込むようにそびえ立つメタセコイアの並木道も見逃せません。新緑が瑞々しく輝く5月上旬〜6月上旬の清涼感も格別ですが、圧倒的な人気を誇るのが11月下旬〜12月上旬の紅葉シーズンです。針葉樹特有のレンガ色や琥珀色に染まった葉が沼の水面に映り込むシンメトリーの絶景は、県内外から多くのカメラマンや散策客を引き寄せています。