なぜ多くの企業が「他社製品NG」や「ボロボロの服NG」という厳しい制限を設けているのでしょうか。単なる囲い込み戦略と受け取られがちですが、そこには高度な技術的・衛生的な理由が存在します。
他社製品やボロボロの服がNGな理由の根幹にあるのは、「ケミカルリサイクル」の難易度です。服を繊維から再び繊維へと再生する現代の高度なリサイクル技術では、ポリエステル100%や綿100%といった素材の純度が極めて重要視されます。混紡率が不明な他社製品や、品質表示タグが擦り切れて読めない服が混ざると、化学分解プラントの工程で不純物として処理トラブルを引き起こすリスクが生じます。
また、衛生面の問題も看過できません。湿った衣類や皮脂汚れ、カビが付着した服が1枚でも回収ボックスに混入すると、密閉されたコンテナ内で雑菌が繁殖し、周囲の正常な衣料品すべてを悪臭とカビで汚染してしまいます。結果として、リユースに回せるはずだった大量の良質な衣類まで一括して産業廃棄物(焼却処分)に回さざるを得なくなるのです。
多くの生活者が気になる下着や靴の回収可否の詳細まとめについて言及すると、原則としてこれらはアパレル店頭のボックスでは「受け入れ不可」が定石です。靴はソールに使われる加硫ゴム、接着剤、金属アイレット、合成皮革などが複雑に圧着されており、現在の衣料回収ラインでは素材分離が極めて困難だからです。下着類に関しても、ユニクロのように「洗濯済みの自社製インナー」を明確に許可している一部の例外を除き、リユース選別現場における衛生基準の観点から拒絶されるケースが大半です。
では、集められた古着回収後の行方とリサイクルの実態はどうなっているのでしょうか。環境省が公表した調査データによると、国内で手放される衣類(年間約70万〜80万トン規模)のうち、リユース・リサイクルに回される割合は約3割にとどまり、残りの大半は可燃ごみや不燃ごみとして焼却・埋め立て処分されています。回収ボックスに集まった服であっても、そのまま再着用される「リユース」に回るのは状態の良い上位層のみ。中間層は工場用のウエス(油拭き布)や自動車の吸音材・断熱材フェルトへと「ダウンサイクル」され、著しく劣化したものは燃料チップ化や熱回収(サーマルリサイクル)に回るのが偽らざる現実です。