ミドルネーム(Middle Name)とは、主に欧米圏においてファーストネーム(Given Name=個人名)とラストネーム(Family Name / Surname=苗字)の中間に配置される名前を指します。日常会話では「ファーストネーム+ラストネーム」で呼ばれることが多く、公的書類や学術論文、冠婚葬祭などの改まった場面以外では省略されるのが一般的です。
この命名文化が生まれた主な理由と由来は、歴史的な人口増加と同姓同名の混乱防止にあります。中世ヨーロッパでは、聖書に登場する使徒や聖人から名を取る習慣が強く、「ジョン」「メアリー」「トーマス」といった同じ名前がひとつの村や都市に溢れかえる事態が多発しました。そこで、個人を正確に識別するために、父親や祖父の名、母方の旧姓(Mother's Maiden Name)、あるいは洗礼名を中間に追加したのが始まりとされています。
アメリカにおけるミドルネームの保有割合は各種社会調査において約80%〜85%と高水準を維持しています。アメリカの大統領名を見ても、「ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア(Joseph Robinette Biden Jr.)」の「ロビネット」や、「ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ(John Fitzgerald Kennedy)」の「フィッツジェラルド」のように、母方の旧姓や家系の名誉ある先祖の名を継ぐケースが典型です。
なお、ビジネス文書や身分証では「John F. Kennedy」のようにミドルネームの略称(イニシャル=Middle Initial)で表記する省略ルールが広く浸透しています。
ここで混同されやすいのがクリスチャンネーム(洗礼名 / Christian Name)との違いです。両者の相違点は以下の通り法・宗教上の文脈において明確に区別されます。
- クリスチャンネーム(洗礼名):キリスト教の洗礼を受ける際に、守護聖人にあやかって授かる宗教上の名前。法的な本名とは一致しない場合もあるが、欧米では洗礼名をそのままファーストネームやミドルネームとして法的に登録するケースが多い。
- ミドルネーム:戸籍や出生証明書(Birth Certificate)などの法的身分証に正式登録された「2つ目以降の名前」。宗教的な名前に限らず、母方の家名、地名、美徳を表す言葉など、自由な名付けが行われる。